任意後見制度の概要1

 今回は、任意後見制度について概要的な話をしたいと思います。

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司法書士 佐藤俊傑

 任意後見とは?

 「成年後見」という言葉はかなり認知されてきましたが、「任意後見」についてはどうでしょうか?任意後見制度はまだまだ利用度が低いことに比例して、認知度も低いままだと思われます。

 成年後見制度は、裁判所の手続により後見人等を選任する「法定後見」制度と、当事者間の契約によって後見人を選ぶ「任意後見」制度があります。
 通常、「成年後見」と言うと前者のみを指して話をすることが圧倒的に多いですが、法律上は二つの制度が含まれています。

任意後見は将来の備え

 法定後見は、判断能力が既にないか又は不十分な状態になった場合に、成年後見人(又は保佐人、補助人)をつけて、財産管理等の支援をしてもらうために利用されるものです。

 それに対し、任意後見は、「まだ判断能力がある方が」、自己の「将来のための準備として」利用する制度です。
 例えば、将来、認知症等になり判断能力がなくなる(不十分になる)と、自分自身で自己の財産管理や法律行為ができなくなる可能性がでてきます。
 具体的には、病院で医師の診断・治療を受けるための医療契約の締結や入院のための契約締結、さらには介護施設等に入るための入所契約締結、介護サービスの提供を受けるための契約締結など、生活に直結する様々な法律行為が自分一人ではできなくなってしまう可能性がでてきます。

 そこで、そのような事態を防ぐために、自分が元気なうちに信頼できる方との間で「仮に自分の判断能力が不十分になったときは、自分に代わって自己の財産管理や必要な契約締結行為等をしてもらう」旨の契約(=任意後見契約)を締結しておくのです。

 こうしておけば、将来実際に自分が認知症等になってしまった後の財産管理等の心配をせずに、安心して老後を迎えることができることになります。

 (なお、ここでいう「自分」(=将来支援をしてもらう予定の人)のことを、以下「本人」と呼ぶ場合もあります。)
任意後見契約は保険と同じ

 ここまで述べてきたとおり、任意後見契約は保険と同様「将来の備え」です。

 そのため、任意後見契約を締結しても、認知症等にならず元気なまま大往生を迎えることができたのであれば、任意後見契約は何ら効力を発揮しません。

 しかしながら、やはり保険と同様、それを使わないで済むのであればこんな良いことはありません。任意後見契約の締結には多少の費用と手間はかかりますが、安心して老後を過ごすために備えをしておくことはとても大切なことだと思います。

任意後見契約の締結

 任意後見契約を締結するには、法律により必ず公正証書でしなければならないことになっています。
 ただし、任意後見契約の内容については、あくまで契約ですので、法律の趣旨に反しない限り当事者間の合意によりその内容を決めることができます。

 次に、誰を任意後見人にするかですが、法律上は未成年者や破産者、本人に対して訴訟をした人などは選任できないとの一定の不適任事由があります(任意後見契約に関する法律4条1項3号参照)。
 それ以外には何ら制限はありませんので、司法書士や弁護士などの専門家はもとより、自分の万一の場合を託せる信頼できる方であれば、親族の方でも友人でも構いません。

任意後見人の職務

 任意後見人の職務の対象は、「本人の財産の管理または生活、療養看護に関する法律行為」です。

 具体的には、「財産の管理に関する法律行為」とは、預貯金の管理、不動産等の重要な財産の管理、年金の管理、税金や各種公共料金の支払いなどです。
 「生活、療養看護に関する法律行為」とは、介護サービスの提供契約や施設入所契約、医療契約の締結などです。

 これらのうち任意後見契約の中で定められた事務について代理権を行使すること(本人を代理すること)が、任意後見人の権限であり義務であるということになります。

 なお、任意後見人の職務は、上記のように契約締結等の「法律行為」であり、療養看護といっても実際に任意後見人自身が本人の入浴補助やおむつ替えなどの「事実行為」をするわけではありません。

任意後見人の職務の開始時期

 任意後見契約は、本人の判断能力が不十分になった場合の備えですので、任意後見人の職務もそのときから開始することになります。

 具体的には、本人の判断能力が不十分になり、任意後見事務を開始する必要が生じた場合に、家庭裁判所に対し、「任意後見監督人」選任の申立てをします。
 そして、家庭裁判所が、任意後見人を監督すべき「任意後見監督人」を選任すると、そのときから、任意後見契約の受任者(=任意後見受任者)は、正式に「任意後見人」として任意後見契約で定められた職務を開始することになります。

流山パーク司法書士事務所にご相談ください

 成年後見制度は、言うまでもなく本人の財産管理・身上監護のための制度です。

 しかしながら、「本人のため」という意味を誤解していることも少なくないため、成年後見(法定後見)制度を利用したのはよいが当初期待した結果にならない場合や、任意後見をはじめ、公正証書遺言、任意代理契約など他の制度を別途ないし同時に利用することがより良い結果になる場合もあります。

 「成年後見制度」の利用の検討をはじめ、漠然と老後の財産管理に不安をお持ちの方など、少しでもご心配な点があればまずは当事務所にご相談ください。

 当初のご相談は無料で時間制限なく行っていますのでお気軽にお問い合わせください。ご連絡お待ちしております。

以 上

 コラム「任意後見制度の概要2」はこちらからどうぞ。合わせて家庭内の困り事のページもご覧ください。

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