破産すること(したこと)が家族に知られる可能性

今回は、「破産すること(したこと)が家族に知られる可能性」についてお話ししていきます。

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司法書士 佐藤俊傑

1 破産したことは家族に知られてしまうのか?

 このような質問をされる方がときどきいらっしゃいます。
 破産すること自体もそうですが、そもそもそのような借金があったことを妻や両親に知られたくないという理由がほとんどです。

 結論から言うと、破産手続の中で、裁判所から申立人(破産者)の家族あてに通知をすることはありません。
 ただし、破産手続の中でなされる「破産手続開始決定」や「免責許可決定」など、いくつかの決定は官報に公告(掲載)されます。官報には当該決定の内容や破産者の住所氏名などが掲載されます。
 官報を閲覧する方は稀ですので過度の心配は不要ですが、破産手続上はそうなっていることを理解しておく必要があります。

2 破産することを家族に伝えるべきか?

 では、裁判所から破産者の家族あてに通知することがないのであれば、破産の申立てをする際に、あえて家族に伝えておく必要はないのでしょうか?

 申立て前に伝えておくのがベターなのは当然ですが、その理由とするところはいくつかあります。また、例外的に、破産手続の中で裁判所から必要的に家族に破産の事実を通知する場合もあります。以下、順を追ってお話ししていきます。

⑴ 破産手続と保証人

 まず、「破産手続の中で裁判所から申立人(破産者)の家族あてに通知することはない。」と言いましたが、これには条件があります。「その家族が破産債権者になっていない限り」という条件です。

 典型的な例としては、両親や妻が自分の債務の保証人になっているケースです。
 保証人は、債務者が支払に窮したときに助けてくれる援助者ですが、無償で援助してくれるのではなく、保証人が支払をした分は、本来の債務者に対して求償していくことになります。そういう意味から、破産手続の中では、保証人は債権者として「債権者一覧表」に記載することになります。

 そして、「債権者一覧表」に記載した債権者には、裁判所から各種の通知が届くことになります。

 なお、主債務者である破産者がずっと債務の支払を続けていたため、保証人は1円も弁済していないという場合も同様です。「債権者一覧表」に「将来の求償債権者」として記載を要することになります(債権額は0円。記載方法は裁判所ごとに若干の差異があります。)。

⑵ 破産手続の保証人への影響

 免責許可決定、すなわち借金がチャラになる決定の効力は、破産者(申立人)以外には及びません。したがって、保証人は、破産者が免責された後も依然として支払義務を負います。
 そのため、破産をすると保証人には大きな負担をかけることになってきますので、この点からも、破産をするときはあらかじめ保証人に話を通しておく必要があると言えます。

⑶ 「債権者一覧表」にあえて記載しないという選択

 裁判所から家族に通知をされたくないために、あえて「債権者一覧表」に記載しないことはやめるべきです。

 「債権者一覧表」に記載がなくても、その他の提出資料から保証人の存在が確認できれば、裁判所から補正を指示されることとなり手続が遅延するだけです。
 また、破産の事実を知られたくないとの理由で、一部の債権者を意図的に「債権者一覧表」に記載しない行為は、免責不許可事由に該当する可能性があります(破産法252条1項7号)ので、記載しなかった債権者だけではなく、全ての債権者に対する債務の免責が受けられなくなる危険性がでてきます。

 なお、意図的ではないにしても、保証人の求償権(=求償債権者)の存在は忘れがちなところですので気を付けたいところです。

3 保証人(債権者)になっていなければ、裁判所から通知がいくこともなく、家族に知られることはないのか?

 結論的には、やはり伝えておく必要があり、かつ、伝わる可能性があります。

⑴ 裁判所からの通知は原則として郵便で行う

 「破産手続開始決定」や「免責許可決定」などは、当然、破産者(申立人)自身に送付しますが、破産申立てを司法書士や弁護士に依頼せず本人が申立てをした場合は、裁判所からの通知は破産者の住所あてに送付しますので、裁判所からの郵便物を家族が受領し、それを端緒に破産の事実に気付くことはあり得ます。

 なお、司法書士や弁護士が申立てに関与している場合は、各事務所を送達場所に指定できるので、そのようなことはありません。

⑵ 同居の家族についての資料を提出する可能性

 破産者ごとの個々の事情によりますが、破産者の生活状況を確認するために、同居の家族についての収入の資料の提出などを裁判所から指示される場合があります。そのため、申立て前に家族に話を通しておいた方が確実に協力を得やすいと思われます。

(補足)個人再生における履行可能性

 債務整理方法の一手段である個人再生手続は、債務者(再生債務者)自身が作成した「再生計画」に従って、減額された債務を分割して支払っていく手続です。

 この再生計画が認可されるためには、ちゃんと将来にわたり支払っていけるのか、再生債務者の「履行可能性」が問題になります。

 履行可能性の判断には、当然、再生債務者自身の収入が考慮されますが、再生債務者の収入のみで履行できなければならない訳ではありません。同居の家族の収入なども加えて履行が可能となればそれで足りるとされています。
 そして、そのような場合には、家族の援助が受けられることを疎明するために、その者の収入に関する資料や確実に援助を行う旨の上申書などの提出を求められることになります。そのため、やはり事前に話を通しておいた方が良いという結論に変わりありません。 

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 当事務所では、事前の法律相談はもちろんのこと、「破産申立書」や「個人再生申立書」の作成など債務整理に関する問題解決に向けて、幅広くお手伝いをすることができます。

 少しでもご心配な点があれば、まずは当事務所にご相談ください。当初のご相談は無料で時間制限なく行っていますのでお気軽にお問い合わせください。ご連絡お待ちしております。

以 上

合わせて債務整理・破産のページもご覧ください。

 なお、破産手続については、以下のコラムがQ&A方式になっていて解り易いと思います。是非一度ご覧ください。
   コラム「破産手続の質問(申立て編)」
   コラム「破産手続の質問(不利益編)」
   コラム「破産手続の質問(資産編)」
   コラム「破産手続の質問(免責その他編)」

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