賃借人の死亡と賃貸借契約2

 以前に「賃借人の死亡と賃貸借契約」というコラムを書きましたが、その中で少し触れた「賃借人に相続人があることが明らかでない場合」について、もう少し書いてみたいと思います。
 なお、賃貸人(=貸主)が死亡した場合のケースについては、コラム「賃貸人の死亡と賃貸借契約」をご覧ください。

司法書士 佐藤俊傑

相続財産法人

 亡くなった方(=被相続人)に相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は法人とされます。そして、相続財産管理人が、法律上、その相続財産法人の代表者とされます。

「法人」「代表者」などという語が出てくるので何となく難しく感じるかもしれませんが、理屈はさておき、相続人がいないからといって相続財産をそのまま放っておく訳にはいきません。
 そこで、裁判所が選任した相続財産管理人が、被相続人の相続財産の清算手続をするということになるのです。

 なお、ここでいう相続財産とは、被相続人の一切の相続財産のことです。相続財産管理人は、特定の相続財産(例えば、本コラムで問題にしている「賃借権」)の清算だけをするわけではありません。

相続人のあることが明らかでないとき 

 「相続人のあることが明らかでないとき」とは、被相続人の戸籍や相続放棄の申述の有無等を確認する限りにおいて、その被相続人に相続人のあることが明らかでないとき(戸籍上相続人が存在しないとき、又は存在してもその全員が相続放棄しているとき等)を指します。

 戸籍上は相続人がいるが、その者が生死不明の場合や所在不明の場合には、相続財産管理人の選任はできません(これらの場合は、不在者財産管理人など別の問題になりますのでここでは省略します)。

相続財産管理人の選任

 さて、上記の説明を前提に賃借人が死亡した場合を考えてみます。
 賃借人が死亡しその者に相続人がいない場合(いることが明らかでない場合)、そのまま放置しておくと、新たな賃借人を入居させられずその分だけ賃料収入が得られなくなってしまいます。

 そこで、賃貸人は、「利害関係人」として、家庭裁判所に対し、賃借人(=被相続人)の相続財産管理人の選任の申し立てをし、選任された相続財産管理人を相手に賃貸借契約の終了等の手続を進めていくことになります。

特別代理人の選任

 相続財産管理人が選任されると、その報酬など様々な管理費用が発生します。そのため、相続財産の内容いかんによっては、申立人(=ここでは賃貸人)が相当額の費用を裁判所に予納する必要が出てくる場合もあります。

 そこで、賃貸人側の費用負担や手間を考慮して、相続財産管理人の選任ではなく、特別代理人の選任(民訴法35条)を求め、同代理人を相手方として建物の明渡し等の訴訟を提起して進めていく方法も考えられます。

 簡単に言うと、相続財産管理人は被相続人の相続財産全体の管理人ですが、特別代理人は当該訴訟限りの相手方として立てられた代理人ということになります。

 特別代理人の選任は訴訟提起が前提となっていますので、例えば、賃借人が家賃の滞納等一切なく突然亡くなった場合などは、賃貸借契約を解除する理由もなく訴訟提起も難しいため、本則どおり相続財産管理人の選任を求めていくことになると思われます。

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以 上

合わせて建物明け渡し・滞納賃料回収のページもご覧ください。

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