破産申立ての必要書類その4(保険の資料)
今回は、「破産の申立てに必要な書類」をご紹介するコラムの続編です。(コラム「破産申立ての必要書類その1」)からご覧いただければ幸いです。
必要書類5 加入している保険の資料
何らかの保険に加入している方は、その資料の提出が必要です。具体的には、「保険証券」及び「解約返戻金証明書」です。
保険証券
「保険証券」が手元にない方はあまりいないと思いますが、もし紛失等されたのであれば、今後の万が一のときのためにも、この機会に再発行の手続きをとっておいた方が良いと思います。
解約返戻金証明書
「解約返戻金証明書」は保険会社に依頼して発行してもらいます。現時点で「仮に」解約した場合、どのくらいの返戻金があるかを証明してもらった書面です。解約返戻金は実際に手元に存在するお金ではありませんが、破産手続の中では資産と見なされるのです。
なお、保険証券自体から、返戻金のない(掛け捨て)保険であることや、加入年数により返戻金額がないことが判明する場合は、わざわざ解約返戻金証明書を取得する必要はありません。
保険についてよくある疑問点
過去に解約した保険
破産の申立て前に、保険を解約して返戻金を受け取っている場合、その金額や使途のわかる資料が必要になる場合があります。おおむね過去2年内、金額にして20万円以上の場合が該当することになると思います。
同居家族の加入している保険の資料
裁判所により差異はありますが、同居している家族(=家計、お財布がひとつの者)が加入している保険の資料も必要な場合があります。
もちろん、家族の保険の解約返戻金が、破産の申立人の資産になるわけではありません。
破産の申立てをする場合、申立人の生活状況を把握するため、通常、申立て前2か月分の家計収支表(=要は、家計簿のようなもの)を提出してもらいます。すると、家計が同一の家族の保険料も支出欄に挙がってくるため、その疎明資料が必要になる場合があるのです。
なお、破産手続においては、この他にも、申立人の資産を把握するためではなく、生活状況を把握するために家族(同居者)の関係書類が必要ということがいくつかあります。それらは、その都度説明していきます。
保険の契約者名義について
その保険が破産者の財産か否かは、原則として「契約者名義」で判断します。「親が勝手に保険料を支払っているので、自分(申立人)の財産ではない」との主張も考えられますが、この場合は、親から保険料を贈与されたとみて、保険(契約)はあくまで申立人のものと考えるのが原則です。
解約の必要性
破産の申立てを考えている人から、破産をしたら保険は解約されてしまうのかと質問を受けることがあります。
「掛け捨て」の保険は、資産価値はないので、破産をしたからといって解約する必要は全くありません。
一方、解約返戻金がある保険の場合は、裁判所ごとの取り扱いや手続の進行方法(同時廃止か管財か)、申立人の個々の事情(年齢や病歴等)などにより様々です。
が、ひとつの目安としは、解約返戻金の額が20万円を超えるか否か(超える場合は換価)でしょう。
ただし、20万円を超える場合でも、そもそも20万円という額を換価基準にしていない裁判所もありますし、申立人の年齢や病歴等により現在の保険を維持する必要があり、かつ解約返戻金と同額の金銭を他から工面することができる場合には換価せずに済むケースなどもあります。
その5へ続く
今後も破産申立てに必要な一般的な添付書類について記載していきたいと思います。その5はこちらからどうぞ。
以 上
合わせて債務整理・破産のページもご覧ください。
なお、破産手続については、以下のコラムがQ&A方式になっていて解り易いと思います。是非一度ご覧ください。
コラム「破産手続の質問(申立て編)」
コラム「破産手続の質問(不利益編)」
コラム「破産手続の質問(資産編)」
コラム「破産手続の質問(免責その他編)」