自動車執行(自動車競売)の手続について

 今回は、自動車執行(自動車競売)の手続について、ご紹介していきたいと思います。

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司法書士 佐藤俊傑

 自動車執行とは

 自動車執行(自動車競売)は、文字通り、自動車を対象とする強制執行です。
 自動車は動産ですが、登録制度があることから一般的な動産と異なり、基本的に不動産の強制競売の規定を準用しています。そのため、自動車執行特有の手続部分を除いて不動産競売手続と同様の流れを追っていきます。
 
 すなわち、

自動車執行申立て → 開始決定 → 自動車を差押え(差押え登録嘱託) → 引渡執行申立て・引渡執行 → 自動車の評価 → 売却(換価) → 代金納付 → 配当

 という流れです。

自動車執行の現状

 自動車執行は、金銭債権を回収するための強制執行手続の中では、裁判所に申立てされる件数は決して多くはないです。
 それは、自動車は(車種にもよりますが)、一般的に、不動産に比べ経年による価格の下落が大きいため、ただでさえ市価より安く評価される競売手続においては、中古自動車などは想像以上に安価になってしまうことが多く、金銭債権の回収手段としては、思いのほか効果(回収額)が小さいことなどが原因と思われます。

 ただ、
① 現代では自動車は多くの方が所有していること。
② 債権者から認識しやすい財産であること(債権執行の対象として一般的である、債務者の預金口座や勤務
 先より調査・判明しやすいことが多い)。

③ 日常的に使用する自動車を差し押さえられることは債務者にとってプレッシャーになりうること
などから、裁判所勤務時代から窓口で自動車執行の質問を受けることはそれなりにありました。いずれにせよ強制執行の対象財産として検討しておくことは無駄ではないと思います。

自動車執行の手続

自動車執行の対象

 自動車執行の対象は普通自動車です。軽自動車も強制執行の対象にはなりますが、その方法が異なります(動産執行の方法によります。)。

 対象となる自動車は、債務者が所有する自動車でなければなりません。債務者の家族が所有する自動車であれば強制執行はできません。自動車の登録事項等証明書により、所有者の住所・氏名が判決等(債務名義)の住所・氏名と一致しているかを確認する必要があります。

 また、ローン支払中などにより所有権留保付きの自動車は、買主である債務者に対する自動車執行はできません。この点は自動車の外形から判別できない事項のため、意外と盲点となります。

必要書類や費用

 申立てに必要な書類は、申立てをする各裁判所にて詳細を確認していただければと思いますが、不動産の強制競売手続の規定を準用しているため、申立書の記載内容や添付書類もそれとほぼ同様のものになっています(例えば、対象が自動車になるので、物件目録が自動車目録に置き換わる等の差異は当然あります。)。

 自動車執行特有の書類としては、対象自動車の「登録事項等証明書」があります。運輸支局や自動車検査登録事務所にて取得する書類ですが、これにより当該自動車の所有者等の各種情報が判明します。
 なるべく新しい証明書で確認する必要があるため、裁判所ごとに発行期限を定めているのが通常です(おおむね申立て前1か月以内に証明されたもの)。
 
 申立手数料は、収入印紙で4000円(請求債権1個の場合)です。差押え登録のための登録免許税は不要です。
 予納金は自動車1台につき10万円とする裁判所が多いです。
 ただし、後述する引渡執行にかかる費用や競売手続中の自動車の保管費用など、別途執行官に対する費用が必要となる場合があります。

裁判所の管轄

 自動車執行の申立てをする裁判所は、自動車登録事項等証明書に記載されている「使用の本拠位置」を管轄する地方裁判所になります。
 実際に自動車を使用している場所が基準だと勘違いしやすいので、注意が必要です。

自動車執行の特徴

引渡執行の申立て

 自動車は常に移動するものですので、自動車執行手続を進めるためには、まず当該自動車自体を物理的に確保すること、すなわち、執行官がその自動車の引き渡しを受けなければなりません。
 そのため、自動車競売開始決定を受けた申立人(債権者)は、執行官に対し、直ちに自動車引渡執行の申立てをしなければなりません。これは、債権者自らがすでに目的自動車を保管している場合も同じです。

 競売開始決定後1か月以内に執行官が自動車の引き渡しを受けることができないときは、競売の手続が取り消されることになりますので注意が必要です。
 例えば、債務者の自動車を本人以外の第三者が使用している場合には、その者から任意の引き渡しを受ける必要がありますので、時間制限オーバーになる可能性もあります。

自動車譲渡命令の申立て

 自動車執行の申立てをした債権者は、裁判所が定めた価額以上であれば自ら買い受けることができます。それが自動車譲渡命令の申立てになります。
 自動車執行手続での車の評価額は低額であることが一般的なため、債権者としては無駄な費用や時間をかけずに迅速に処分したいところです。そのため、この自動車譲渡命令の申立てに基づいて売却されることも多いです。

 なお、自動車競売における自動車の評価は、一般財団法人日本自動車査定協会などが行います。

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 当事務所では、訴訟手続から、自動車執行手続を含めた各種執行手続のご相談、訴状や強制執行申立書などの書類作成まで幅広くお手伝いをすることができます。
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以 上

合わせて債権回収のページもご覧ください。

 

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