競売申立て前の無剰余の検討

 今回は、競売手続における無剰余について、申立て前の検討事項のお話をしていきたいと思います。先にコラム「競売手続における無剰余」からご覧いただければ幸いです。

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司法書士 佐藤俊傑

競売申立て前に無剰余となるかを検討する

 無剰余取消によって競売手続が終了すると、申立債権者が当初裁判所に積んだ予納金は、その時点までにかかった手続費用を精算し、残額のみが返還されることになります。

 通常、無剰余取消がされる時点までで予納金はすでに何十万円単位で使用していますので、この出費はかなり痛いところとなります。できれば競売申立て前に無剰余となるかどうかの判断ができればそれに越したことはありません。

 そのためには、無剰余の判断材料である「競売物件の価額」「手続費用」及び「優先する債権者の債権額」をそれぞれ予想し比べてみる必要があります。

競売物件の価額

 金融機関であれば、当該物件を担保にとるときに当然担保価値を査定しています。しかしながら、一般の方が他人の所有物件の価値を正確に知ることは難しいと思われます。

 考えられる方法としては、裁判所の競売物件情報で類似の物件価格を調べてみたり、不動産屋等に査定を依頼する、固定資産税評価額、公示価格等から推測するなどの方法しかないでしょう。
 ただし、ご存知のとおり、競売の入札価額(買受可能価額)は市価に比べて相当低いですので、それを考慮に入れて検討する必要があります。

手続費用

 具体的な金額は競売事件ごとに様々なので何とも言えないところです。

 ただし、物件数が非常に多いとか、特殊な調査が必要(例えば土壌汚染の可能性がある物件)など、裁判所の調査に手間や時間がかかる特別な事情がない限り、ごく一般的な一軒家の競売手続であれば30~50万円程度見込んでおけばまず大丈夫でしょう。
(ちなみに、東京地裁執行部の当初予納額の最低ラインは60万円になっています。当初の予納額は裁判所ごとに異なります。)。

優先する債権者の債権額

 まずは、対象物件の不動産登記簿を確認することが何より必要です。

1 抵当権が登記されている場合

 登記されている「債権額」はあくまで登記時点の債権額であり、現在の実際の債権額は登記簿からはわかりません。ただ、登記されている当初の契約日などから、債務者が普通に現在まで弁済を継続していれば、少なくともこのくらいまでは減少しているだろうという大凡の推測は可能です。
  抵当権者(多くは金融機関)に問い合わせて直接返答してくれれば一番なのですが、個人情報が絡むので難しいことが多いでしょう。

 抵当権者の場合、「現在の債権額」+「2年分の利息損害金」の合計額が、ざっくりとした優先配当額になります。

2 登記されている担保権が「根抵当権」の場合

  根抵当権の場合、「債権額」ではなく「極度額」が登記されています。現在の債権額がわからないことは抵当権と同様ですが、少なくとも極度額以上の配当を受けることはできません。損害金がどれだけ発生していても極度額が限度です。

 よって、競売物件の価額が「手続費用プラス極度額」以上の価格になることが予想されるのであれば、配当は見込めることになります。

3 抵当権などの担保権が何も登記されていない場合

 この場合、コラム「競売手続における無剰余」で述べたとおり、手続費用すらまかなえないくらい低額の不動産ではない限り、無剰余とはならず、一般の私債権者に配当が回ってくることになるのが通常です。

 しかし、公租公課の存在に注意が必要です。

 債務者が税金を滞納しているかどうかは登記簿を見ても通常はわかりません。
 市役所や税務署、県税事務所などは、滞納税金を徴収するために裁判所のように差押えができますので、登記簿に市役所等の差押え登記があれば税金滞納の事実はわかります。けれども、この場合も債務者が何らかの税金を滞納していることはわかりますが、滞納額については通常わかりません。

 もうこうなると債務者がいつぐらいから借金の返済に困り、税金すら滞納し始めたかを、実際の生活状況や決算書等からわかる事業状況などから想像するしかありません。債権者の立場からはかなり困難なことだと思われます。

 以上述べてきたとおり、競売申立て前に無剰余となるかを予測することは非常に難しいです。
 また、無剰余と判断された後も、債権者自らが買い取りを希望する方法や、他の債権者の協力(申立てや同意)を得る方法により無剰余取消を回避できる場合などもあり、対応が難しいところです。

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以 上

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