DV~保護命令申立ての注意点3

 今回は、DV(ドメスティックバイオレンス)に関して、配偶者暴力に関する保護命令のお話をしたいと思います。
 関連するコラム「DV~保護命令申立ての注意点1」からご覧いただけたら幸いです。今回は、保護命令申立書の記載の注意点についてご紹介していきます。

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司法書士 佐藤俊傑

 申立てをする裁判所

1 申立てをする裁判所は地方裁判所になります。主として家庭内の揉め事なので家庭裁判所と勘違いされるかもしれませんが,そうではありません。
  そして、申立てをする具体的な地方裁判所は、以下の場所を管轄する裁判所のうちから、1か所を選択します。

ア 相手方の住所地(住所不明のときは居所)
イ 申立人の住所又は居所の所在地
ウ 申立ての原因となった暴力等が行われた場所

 ただ、実際のところは、同居中に夫に暴力を振るわれ、妻が実家等に避難しているというケースが多いため、アとウは同じ場所というケースが多いです。
 実際にどこの裁判所に申立てをするのが良いのかについては、後述します。

申立書の記載

住所
1 申立書には、申立人の住所を記載する欄があります。申立書のコピーは相手方に送付されますので、避難している本当の住所を相手方に知られたくない場合(知られると被害に遭う場合)は、住所欄に「住民票上の住所」や「相手方と共同生活をしていた住居地」を形式的に記載しておけば足ります。

 なお、この場合、裁判所に対しては、申立書とは別の書面にて本当の住所を届け出ることになります。その具体的な方法については、実際に申立てをする裁判所の指示に従います。
本当の住所を記載した書面は、相手方に送付したり公開したりすることはありません。

2 申立書には本当の住所を記載しなかったにもかかわらず、申立てをした裁判所の所在地から住所を推測されることがあります。

  例えば、千葉市で同居していた夫婦間にDVがあり、妻が水戸市の知人の家に避難したとします。
 この場合、仮にこの知人の家を居所として裁判所の管轄が認められれば、水戸地裁(本庁)に申立てが可能ですが、夫からすると、「水戸市近辺で妻が避難する場所といったら、妻の親友の〇〇〇〇の家だろう。」と推測できてしまう場合もあります。
 住所を秘匿している場合は、こういった面からも申立て先の検討が必要です。

暴力等についての記載

 裁判所によって申立書の書式はじゃっかん異なりますが、おおむね数件(数回)程度の、受けた暴力等について記載する必要があります。

 暴力等を受けた事実は、言うまでもなく保護命令申立ての核心部分ですので、詳しく記載する必要があります。「いつ、どこで、何が原因で、どういった暴力等を受け、それによりどういった被害(ケガ)を被ったのか」を具体的に記載します。

 申立てをされる方の中には、「いっぱいありすぎてわからない」「ちょっと前のことなのでよく覚えていない」などと話す方もいます。
 しかしながら、以前のコラムでも述べたとおり、保護命令は非常に強い罰則がある命令であり、それゆえに相手方の反論もきちんと聴かなければなりません。そのため、申立人が具体的に主張できないようであれば、相手方もどの事実のことを言っているのかわからないことになってしまいます。

 なお、暴行等の事実を記載するときは、なるべくその事実のみを淡々と記載するようにしましょう。
 裁判所に対し、相手方の悪性をわかってもらおうと、問題となっている事実と関係のない誹謗中傷を書き連ねる方もいますが、そのようなことをしても裁判官の判断に影響はありませんし、申立書のコピーは相手方にも送付されるのでメリットはありません。

証拠の確保

 保護命令の申立てにおいて、一般的に提出される証拠は、受傷した写真、診断書、脅迫等をうけたメールを印刷したものなどがあります。また、同居者など事情を知る人の陳述書などもあります。
 最近では携帯ですぐに写真を撮れるので、是非残しておくべきです。また相手から送信された脅迫等を含むメールも消去しないことが大事です。

 DV被害に遭っているときに、冷静に写真を残すなどということは現実的ではないのかもしれませんが、裁判手続においては、やはり客観的な証拠に説得力があります。客観的な証拠がないと、どうしても水掛け論になりがちです。

 なお、前述の「暴力等についての記載」を具体的にするためにも、暴力等があったときの経緯をすぐに日記等に残しておくことも有効です。日記は自分で記載するもので客観性はありませんが、その記載内容により十分証拠になり得ます。

 引き続き、注意点4をご覧ください。

以 上

合わせて家庭内の困り事のページもご覧ください。

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