債権執行の質問(給料編)

 今回は、債権執行についてよくある質問「給料編」です。
 手続全般の質問と回答は、以前のコラム「債権執行の質問(手続全般編)」をご覧ください。

photo_satou

司法書士 佐藤俊傑

債権執行の質問(給料編)

1 債務者の給料の差し押さえをする場合、申立ての際どこまで調べておく必要があるのか?

 債務者の勤務先、すなわち債務者に給料を支払っている会社(法人)や個人の住所及び名前を調査する必要があります。

 第三債務者が法人の場合は、その他に代表者の氏名も必要になりますが、法人の登記簿(全部事項証明書)は誰でも閲覧が可能ですので、そこから調べることができます。法人の登記簿は、申立書の添付書類として必要になります。

2 債務者が公務員であっても給料の差し押えができるのか?

 公務員の場合は、「給料」ではなく「俸給」と言い、使用者である国(又は地方公共団体)から支給されるのが一般的です。そのため、第三債務者は国(又は地方公共団体)になります。

 まずは、第三債務者が誰なのか(国家公務員なら国、東京都職員なら東京都、東京都○○区の職員なら○○区など)を調査する必要があります。
 そして、一般の法人の場合と同様、第三債務者を代表する者が誰であるのか(代表者の役職と氏名)も調べる必要がありますが、ここが少々癖のあるところです。

 例えば、通常の裁判で「被告 国」となった場合、その代表者は法務大臣になるというイメージがある方も多いと思いますが、給料差押えの申立書の記載は異なってきます。
 実際にその俸給を支払う権限のある者を代表者として記載しますので、一括りに国家公務員と言っても、所属する官庁によって代表者の肩書は「資金前渡官吏」や「支出官」、「会計課長」など様々なものがあります。これはその都度調べてみる必要があります。

 なお蛇足ですが、国立大学は現在、独立行政法人となっていますので、国立大学の職員の給料を差し押さえる場合は、第三債務者は国ではなくその独立行政法人になります。

3 第三債務者あての差押命令は、どこに送達するのか?

 迅速に差押命令を送達して差押えの実効性を上げるため、申立書には、第三債務者の送達場所(=第三債務者あての郵便物を送る場所)を記載することになっています。これは給料の差押えに限ったことではありません。

 第三債務者が国等であれば、前述した代表者が在籍している官庁等を送達場所にすることになります。
 第三債務者が一般の民間会社の場合、送達場所を本店所在地とすることは勿論問題ありませんが、債務者が現実に勤務する支店(営業所)などでも構いません。

 しかしながら、債務者への給与支払い事務が本店の給与係だけで行われているにもかかわらず、支店等に差押命令を送達しても、そこから本店への連絡が遅れ、場合によっては給料の差押えも遅れてしまうなどの事務処理の混乱が生じることもありえます。

 債権者の立場からすると、第三債務者の給与支払い事務の処理体制などは通常わかりませんので、具体的な事案ごとに、より迅速確実に差押えができるよう自己の責任で送達場所を選択する必要があります。

4 債務者が従業員ではなく役員であっても給料の差押えができるのか?

 債務者が会社(法人)の役員(代表取締役など)である場合、債務者が受け取る金銭は「給料」ではなく「役員報酬」になります。また、「退職金」は「役員退職慰労金」となります。

 役員報酬等については、給料について認められている差押禁止範囲(民事執行法152条)の適用がないので、その全額(所得税等の法定控除額は除く)について差し押さえることができます。
 なお、いわゆるサラリーマン重役(一方で従業員として給料を受け、他方では役員として役員報酬も受けている)の場合は、給料と役員報酬の両方を差し押さえることができます。

5 債務者には、他にも債権者がいて既に給料の差押えがされている。さらに自分が差押えることができるのか?

 他の債権者が先に差押えをしている債権であっても、重ねて差押えをすることができます。
 ただし、債権者全員の差押債権額の合計額と、現実に差し押さえられた給料の金額との関係によっては、第三債務者は必ず供託をしなければならない場合があります。
 この場合は、個々の債権者が第三債務者から直接取立てをすることは禁止され、裁判所の配当手続となります。

流山パーク司法書士事務所にご相談ください

 裁判は勝訴すること自体よりも、その後の強制執行など実際の権利実現手続の方がよっぽど大変なことも多いです。
 それだからこそ、しっかりと手続を熟知した専門家に依頼することが最も問題解決に適していると言えます。
 
 特に強制執行手続は訴訟と違い、申立て後は原則として裁判所に出頭することなく進行していく手続ですので、司法書士に書面作成業務を中心に依頼されることが非常に馴染む手続と言え、費用対効果の面からも優れていると言えるでしょう。

 当事務所では、訴訟手続から各種保全手続・執行手続のご相談、書類作成等を承っております。少しでもご心配な点があれば、まずは当事務所にご相談ください。当初のご相談は無料で時間制限なく行っていますのでお気軽にお問い合わせください。ご連絡お待ちしております。

以 上

合わせて債権回収のページもご覧ください。
コラム「債権執行の質問(手続全般編)」はこちら
コラム「債権執行の質問(預金編)」はこちら
コラム「債権執行の質問(執行費用その他編)」はこちら

無料相談のお申込み

気軽に相談しやすい事務所です

  • ご予約で土日祝日の相談が可能
  • ご予約で夜間の相談が可能
  • 空きがあれば当日の相談予約も可能

04-7128-7616

営業時間:午前9時~午後6時(平日)

ご相談予約フォーム24時間受付

主なお客様対応エリア
  • 野田市中心部より車で約 24 分
  • 柏市中心部より車で約 22 分
  • 松戸市中心部より車で約 27 分
  • 守谷市中心部より車で約 28 分
  • 三郷市中心部より車で約 20 分
  • 八潮市中心部より車で約 30 分

無料相談のお申込み

気軽に相談しやすい事務所です

  • ご予約で土日祝日の相談が可能
  • ご予約で夜間の相談が可能
  • 空きがあれば当日の相談予約も可能

04-7128-7616

営業時間:午前9時~午後6時(平日)

ご相談予約フォーム24時間受付