破産手続と給与差押え

 今回は、破産手続と給与差押えの関係についてご紹介していきたいと思います。

photo_satou

司法書士 佐藤俊傑

破産手続と給与差押え(概要)

 「破産手続と強制執行」というテーマにすると、話が広がりすぎてしまいますので、今回は、実際によくある事例の「破産手続と給与差押え」に絞ってお話ししていきます。 

 さて、次のような質問を度々受けることがあります。
「債務の支払いができなくなったため、債権者から給与の一部を差押えられてしまった。今から破産の申立てをすれば、差押えがなくなり給与を全額受け取れるのか?」 

 自己破産の申し立てをして、裁判所が破産手続の開始決定をすると、債権者が新たに強制執行手続を行うことはできず、既に開始されている強制執行手続は効力を失います(破産法42条)。
 そのため、すでに給与の差押えがされている場合、自己破産の手続をすることによって給与の差押えを中止させることができるという考えは、大枠では正しいです。

破産手続が給与差押えに与える影響

 ただし、次に述べるように、破産手続の進行の仕方(管財手続となるか同時廃止手続となるか)によって、給与差押え手続に与える影響、すなわち、差し押さえられた給与を受領できる時期などに差異が出てきます。

 ポイントとなるのは前述の破産法42条、及び同法249条になります。249条を大幅に要約すると次のとおりです。
1項
「破産及び免責許可の申立てをし、破産手続開始決定(同時廃止決定)があったときは、その後、免責許可決定がされ、その決定が確定するまでの間は、強制執行手続をすることができず、既にされている強制執行は中止する。」
2項
「免責許可決定が確定したときは、前項の規定により中止した強制執行はその効力を失う。」

  この部分の話をする際は、旧破産法からの条文の変遷の話や、破産手続が開始すると同時に廃止(終了)してしまう同時廃止手続の特徴など理屈っぽい話の部分があるのですが、それをこの場で詳細に話してもしょうがないので、結論部分のみお話ししていきます。

管財手続の場合

 管財手続の場合は、破産手続開始決定によって、強制執行は効力を失います。

 具体的には、破産管財人が、強制執行係に対し手続取消の上申書を提出することにより、強制執行手続が取り消されることになります。
 よって、破産手続開始決定後、ほどなくして従前どおり給与を全額受け取れるようになります。

同時廃止手続の場合

 一方、同時廃止手続の場合は少々流れが違います。

 破産手続開始決定(同時廃止決定)がされると、強制執行係に対しその旨の上申書を提出することにより、強制執行手続は中止されます。ただし、「取消」ではなく「中止」です。
 つまり、強制執行手続は現状のまま進行しないだけであり、差押えの効力は維持されたままになります。

 その後、免責許可決定がされ、同決定が確定した時点ではじめて強制執行手続は効力を失い取り消されることになります。そして、そこでようやく従前どおりの額の給与を受け取ることができるようになります。

 なお、強制執行が中止された時点以降、免責許可決定が確定するまでの間の差押え部分の給与はどうなるのかと疑問が生じますが、その部分の給与は、勤務先の会社の方で供託ないし保管をしておき、強制執行手続取り消し後、債務者がそれを受領することになります。

これから給与の差押えをされそうな場合

 債権者が、これから貸金返還を求める訴訟や支払督促をしようとしている場合や、すでに判決等を取得し給与差押えに着手しようとしている場合は、破産申立てをするかどうか、なるべく早めに検討することが必要です。

 一般個人の方は、所有する資産も多くなく、破産手続が同時廃止手続となることが少なくないですが、破産の申立てをしても、その後に破産手続開始決定(同時廃止決定)が出されるまでの期間や、免責許可決定が確定するまでの期間は一定程度かかります。
 そうすると、その間の給与は一部を差押えられたことにより減額されたものになりますので、場合によっては生活に支障が生じることもあり得るからです。

流山パーク司法書士事務所にご相談ください

 当事務所では、事前の法律相談はもちろんのこと、「破産申立書」の作成など、債務整理の問題解決に向けて幅広くお手伝いをすることができます。また、当事務所の司法書士は、各種強制執行手続についても精通しておりますのでご安心ください。

 少しでもご心配な点があれば、まずは当事務所にご相談ください。当初のご相談は無料で時間制限なく行っていますのでお気軽にお問い合わせください。ご連絡お待ちしております。

以 上

合わせて債務整理・破産のページもご覧ください。

 なお、破産手続については、以下のコラムがQ&A方式になっていて解り易いと思います。是非一度ご覧ください。
   コラム「破産手続の質問(申立て編)」
   コラム「破産手続の質問(不利益編)」
   コラム「破産手続の質問(資産編)」
   コラム「破産手続の質問(免責その他編)」

無料相談のお申込み

気軽に相談しやすい事務所です

  • ご予約で土日祝日の相談が可能
  • ご予約で夜間の相談が可能
  • 空きがあれば当日の相談予約も可能

04-7128-7616

営業時間:午前9時~午後6時(平日)

ご相談予約フォーム24時間受付

主なお客様対応エリア
  • 野田市中心部より車で約 24 分
  • 柏市中心部より車で約 22 分
  • 松戸市中心部より車で約 27 分
  • 守谷市中心部より車で約 28 分
  • 三郷市中心部より車で約 20 分
  • 八潮市中心部より車で約 30 分

無料相談のお申込み

気軽に相談しやすい事務所です

  • ご予約で土日祝日の相談が可能
  • ご予約で夜間の相談が可能
  • 空きがあれば当日の相談予約も可能

04-7128-7616

営業時間:午前9時~午後6時(平日)

ご相談予約フォーム24時間受付